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「生命保険にいくら入ればいいかわからない」という声は多く聞かれます。必要以上に加入すれば毎月の保険料が家計を圧迫し、少なすぎればいざという時に遺族の生活が成り立たないことになります。
この記事では、必要保障額を具体的な数字で計算する方法と、ライフステージごとの見直し手順を整理します。
必要保障額の基本計算式
計算式の考え方
必要保障額 = 遺族の将来支出 − 遺族の将来収入・資産
「将来」とは、子供の独立まで、配偶者の年金受給開始までなど、何年後までの生活を支える必要があるかで考えます。
遺族の将来支出に含めるもの
- 配偶者+子供の生活費
- 子供の教育費(幼稚園〜大学)
- 住居費(家賃 or 住宅ローン残債)
- 葬儀代・死後整理費用(200〜300万円程度)
- 予備費(冠婚葬祭・医療等)
遺族の将来収入・資産に含めるもの
- 遺族年金(遺族基礎年金+遺族厚生年金)
- 配偶者の就労収入
- 預貯金・有価証券
- 退職金
- 団信で相殺される住宅ローン残債
ライフステージ別|必要保障額の目安
独身の20〜30代
目安:200〜500万円(葬儀代+整理費用)
扶養家族がいないため、大きな死亡保障は不要です。医療保険・就業不能保険を優先しましょう。
結婚・子供なしの共働き世帯
目安:500万〜1,500万円
配偶者が自立して収入がある場合、パートナーの生活費半年〜1年分+葬儀代程度で十分。片働きならこの2〜3倍。
子育て期(子供0〜12歳)
目安:3,000万〜5,000万円
最も保障を手厚くすべき時期です。以下のケーススタディを参考にしてください。
子育て期後半(子供中高生)
目安:1,500万〜3,000万円
子供の残り教育期間に応じて調整。高校・大学入学前後がピーク。
子供独立後(50代〜)
目安:300万〜1,000万円
配偶者の老後生活費と葬儀代中心の設計へ切り替え。
退職後(60代〜)
目安:200万〜500万円
葬儀代・相続対策が主目的。終身保険1本で対応可能なケースが多い。
ケーススタディ|30代会社員・妻+子1人の場合
前提条件
- 夫:35歳、会社員、年収500万円
- 妻:32歳、パート、年収100万円
- 子:3歳
- 月々の生活費:25万円
- 住居:賃貸(家賃10万円)
- 預貯金:200万円
遺族の将来支出
- 生活費:月25万円 × 12ヶ月 × 20年(子が23歳まで) = 6,000万円
- 妻のみの生活費:月15万円 × 12ヶ月 × 20年(子独立後の65歳まで) = 3,600万円
- 子の教育費(公立中心+私大文系想定):1,000万円
- 葬儀代・整理費:300万円
- 支出合計:約10,900万円
遺族の将来収入
- 遺族基礎年金(子18歳まで):月約8.3万円 × 15年 = 約1,494万円
- 遺族厚生年金(妻の年齢まで):月約7万円 × 30年 = 約2,520万円
- 妻の収入:月9万円 × 20年 = 約2,160万円
- 老齢年金(妻65歳以降):月約12万円 × 20年 = 約2,880万円
- 預貯金:200万円
- 収入合計:約9,254万円
必要保障額
10,900万 − 9,254万 = 約1,646万円
この例では、定期保険1,500〜2,000万円程度の上乗せで必要保障を満たせる計算になります。ネット生保の定期保険なら保険料は月1,500円〜3,000円程度が目安です。
必要保障額を下げる3つの要素
1|団信(住宅ローン)
住宅ローンに加入すると団体信用生命保険によりローン残債がゼロになります。その分、別途の死亡保障を減額できます。
2|遺族年金
会社員の場合、遺族厚生年金が月7〜15万円支給されるため、実質的な必要保障額を大きく下げます。
3|配偶者の就労収入
共働きなら、残された配偶者の就労収入が遺族生活費を支えます。保障額を抑える有力な要素です。
必要保障額を上げる3つの要素
1|自営業・フリーランス
遺族厚生年金がない分、遺族基礎年金のみとなり必要保障額が高くなります。
2|持ち家でローンなし・または賃貸
団信でカバーされないため、住居費をフルに保険で準備する必要があります。
3|子供の教育方針(私立中心)
中学から私立、大学は医学部などを想定する場合、教育費が3,000万〜5,000万円に達する可能性があります。
保険見直しの手順
ステップ1|現状棚卸し
- 現在加入中の保険会社・商品名・保障額・保険料・期間を全て書き出す
- 終身保険は解約返戻金の現在価値も確認
ステップ2|公的保障を確認
- 遺族年金の受給額(日本年金機構のシミュレーターで確認)
- 健康保険の傷病手当金
- 団信の加入状況
ステップ3|必要保障額を算出
上記の計算式で必要保障額を試算。Excelで家族別に組むのが確実。
ステップ4|過不足を調整
- 過剰 → 解約・減額・定期保険へ切替
- 不足 → 掛け捨ての定期または収入保障保険で追加
ステップ5|保険料総額の確認
**世帯手取り収入の5〜10%**以内に収まるよう調整。
見直しで陥りやすい5つの落とし穴
落とし穴1|遺族年金を見落とす
公的保障を加味せずに計算すると、必要保障額が過大になります。
落とし穴2|貯蓄型保険で「運用」を兼ねようとする
保険と運用は分離が基本。運用はNISA・iDeCoで、保障は掛け捨てで。
落とし穴3|医療保険を複数契約
給付金は重複支給されるケースもありますが、保険料の無駄も多くなります。
落とし穴4|定期保険の更新で保険料が倍増
更新型定期保険は5年・10年ごとに保険料が上昇します。50代以降に負担が急増するため、長期保障が必要な場合は「全期型」や「収入保障保険」を検討。
落とし穴5|窓口担当者の提案を鵜呑み
保険ショップは手数料ビジネス。自分で必要保障額を算出してから相談する姿勢が重要です。
保険料を抑えるコツ
- ネット生保の活用:対面型より保険料が割安
- 掛け捨ての定期保険中心:若いうちは月数千円で大きな保障
- 共済の併用:県民共済・コープ共済などで医療保障を補強
- 特約の絞り込み:不要な特約を削ぎ落とすだけで月額が下がる
よくある質問
Q. 子供1人につき必要な教育費はいくらですか?
公立中心で約1,000万円、私立中心で約2,000〜2,500万円が目安です(文部科学省「子供の学習費調査」等より)。
Q. 遺族年金はどのくらいもらえますか?
会社員の妻子の場合、遺族基礎年金(月約8万円)+遺族厚生年金(月約6〜12万円)が目安。日本年金機構の試算ツールで確認できます。
Q. 必要保障額の見直しはどのくらいの頻度で?
3〜5年に1度、またはライフイベント時(結婚・出産・住宅購入・転職・子の独立・退職)に見直すのが推奨されます。
Q. 保険料は手取りの何%が適正ですか?
世帯手取りの**5〜10%**が目安。手取り月30万円なら月1.5〜3万円。
Q. 保険の見直しに相談料はかかりますか?
保険ショップは基本的に相談料無料ですが、提携保険会社からの手数料で運営されています。中立な助言を求めるなら、有料のFP相談を検討しましょう。
本記事は情報提供を目的とするもので、特定の金融商品を勧誘する意図はありません。保険商品は契約条件・約款を必ずご確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。